映画『紙の月(2014)』をAmazonプライムで観ました。
この作品は2014年に公開。監督は吉田大八氏。主演女優は宮沢りえさんです。
原作は角田光代氏です。
一言で言うと、「お金のIQ」が上がる名作です。
見終わった後にレビューなどを確認してみると、「宮沢りえの演技」に注目している人がほとんどです。
他、善悪、正義、道徳など。
実話かどうかに焦点を当てている人もいます。
が、さくのが感じた本作品のメッセージは、「銀行の信用創造のカラクリ」を暗に示していることです。
もちろん、ダイレクトには示していません。
このタブーに切り込んだ名作とさくのは捉えました。
随所にそれを示す箇所があります。
本作品『紙の月(2014)』を簡単に表すなら、宮沢りえ演じる銀行員りかが、恋に溺れて、銀行のお金(マボロシ)を横領し、貢いでしまうというお話です。
ついつい、不倫ネタ、色恋が表立っていますが、そうであれば舞台は「銀行」でなくてもいいわけですよね。
なぜ、舞台が「銀行」なのか?そこを考えると面白いと思います。
実際に横領は立派な犯罪なわけですが、結局、物語の終盤でほとんどの人が迷惑を被っていないし、誰も死んでいないことに気づくでしょう。
これが銀行でなく、一般企業であれば話は変わってきます。
そこを読み解いていくと面白いと思います。
また、大事なメッセージとして、人々に「もっとお金の本質に目を向けなさい」ということも発しているように思います。
それを表すものとして、宮沢りえの上司が「私はお金がどこから来て、どこに行くのかを知りたい」というようなニュアンスのことを発しています。
実際、多くの人がお金がどのように発行され、どこに行くのかを理解していません。ここを理解すると、資本主義社会を泳いでいくことがずいぶんと楽になります。
そして、この「信用創造」のカラクリを理解すると、お金持ちになることが容易に理解できるようになります。
バランスシート(貸借対照表)の右側には「負債」と「純資産」の欄があります。
会社を起こす時は、必然この右側のいずれかからお金を投入し、左側の「資産」を増やしていくわけです。
借金で投入する場合は「負債」として投入。
自己資金や投資してもらう場合は「純資産」として投入。
それらを使って左側の「資産」を購入。
その資産が「利益剰余金」を生み、それらが右側の「純資産」に積み上がり、再び左側の「資産」に変えていく。これをグルグル回す。
極論、お金を儲けることはこのシンプルなゲームになります。
余談ですが、本作品で、最後の方に軽く「横領したお金で土地買ってないの?」といったニュアンスの発言がありますが、あれも資本主義攻略の大事なメッセージを暗に示しています。
資本主義攻略の本質は「銀行にある」といっても過言ではありません。
なぜ、近年、ITで成功した企業が「銀行業」や「金融」に目を移していくのか?
例えば、ソフトバンクも子会社ヤフーを通じてジャパンネット銀行を抑えていますし、楽天もイーバンク買収で銀行業を抑えています。GMOはあおぞら銀行を。
もっとオールドなところでいえば、ソニーも銀行を持っていますし、セブンイレブンも持っています。
さらにオールドなところでは、三菱や三井、住友、安田などが財閥を築けたのは「銀行業」に目を向けたからともいえます。
ということで、映画『紙の月(2014)』は全体的に「お金のIQ」を上げる貴重な映画です。資本主義を楽しく理解したい方にはおススメ。
一度観たことがある方も「お金」「資本主義」「信用創造」といった切り口から本作品を観ると、また一風違った印象を受けるのでおススメです。
もちろん、恋愛映画としても、宮沢りえさんの演技の観点から観ても名作で、あっという間の2時間になることでしょう。
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